カンタル A.O.P.

カンタル A.O.P.

解説

2,000年前には既に存在していたと言われる「Cantal(カンタル)」。その特徴は熟成が進むと味わえる、シュワッとした弱い発泡性の食感にあるとも言われています。 「Cantal(カンタル)」は、風雨で浸食を受けたオーヴェルニュの山で生まれた素朴な味わいのチーズです。

特徴

・1956年A.O.C.(原産地呼称統制)認定


・非加熱圧搾チーズ


・脂肪分45%以上


・A.O.C.チーズには、3つのタイプが認定:「Forma de Cantal(フルム・ド・カンタル)」(直径36-42cm、35−45kg)、「Petit Cantal(プチ・カンタル)」(直径26-29cm、15−20kg)、「Cantalet(カンタレ)」(直径20-22cm、8−10kg)


・味わいはミルキー


・若いチーズには中身の部分に筋が入っており、皮は灰色がかった白色だが、熟していくと金褐色に変化


・生産量:17,500t

ガストロノミー

野生のフルーツ、ぶどう、リンゴ、ナッツや、ボジョレーのような軽くてフルーティーな赤ワインとの相性が良いとされています。熟成の進んでいない「Cantal(カンタル)」や山羊のチーズと粗くつぶしたジャガイモ、ベーコンを混ぜて炒めた料理、トリュファードが有名です。

製造方法

「Cantal(カンタル)」は、チーズの生地に塩を混ぜ込む唯一のチーズです。

カード(凝乳)の粒を圧搾し、乳清を完全に取り除くと、郷土料理トリュファードの材料となる「山のフレッシュチーズ」と呼ばれるものができます。これを圧搾し、塩を加えたものをリネン生地で覆った型に入れ、数日かけて圧搾します。少なくとも30日間熟成させると、うっすらと白く色づいた皮が張り、柔らかな若いチーズができます。熟成期間が70日を超えると(この間、時々チーズを磨き上下を反転させます)、ボタン状の斑点が浮き上がり、黄色味を帯びた厚い皮ができてきます。

この段階のものをアントル・ドゥ(「2つの間」という意味)または黄金色の「Cantal(カンタル)」と呼びます。最終的に、「職人」とあだ名される粉ダニの助けを借り、長い期間熟成させると、ヴュー(8ヶ月以上熟成)またはカラクテル(個性)と呼ばれる「Cantal(カンタル)」ができます。


「Cantal(カンタル)」は「Salers (サレール)」と同じ場所で作られる兄弟チーズです。このふたつのチーズは生産者も同じですが、違いは生産期間。山の牧草地が茂る期間にのみ作られるのが「Salers (サレール)」です。「Cantal(カンタル)」は、切り分けたどのピースにも皮が付くよう、縦横に薄くカットされます。


「Cantal(カンタル)」は最も古いチーズで、大プリニウス(古代ローマンの軍人、行政官)の「博物誌」第11巻に「ローマでアヴェーヌ産やジェヴォーダン産のチーズが大変好まれている」と記載されています。17世紀、オリヴィエ・ド・セールも、著書「農業経営論」 の中でこのチーズについて触れています。


「Cantal(カンタル)」の別名は、「フルム・ド・サレール(サレールの円筒)」。この地方生まれの舞曲「ブレー」のリズムを刻む打楽器のような円筒型と、サレール牛に敬意を表してこの名が付きました。また、このチーズは物々交換の際、貨幣のような使われ方をしていたこともあります。チーズ1個に対し、ワイン1樽が等価でした。
パスツールの弟子だったエミール・デュークロー (1840-1904)は、オーリヤックに農場を所有しており、地域の酪農技術の近代化を研究し、カンタル地方の商業発展に広く貢献した人物です。

生産地

オーヴェルニュ圏とカンタル山地が生産地。厳密には、カンタル県と隣接41都市が該当します。つまり、河川が流れ肥沃な牧草地帯が広がる、別名「緑の地方」とも呼ばれるオート・オーヴェルニュ地方です。
伝統的に、サレール地方の牛はきれいな赤毛で、印象的な形の角をしています。
1950年代、カンタル県の町のひとつ、サン・フルールは、リコリス、ゲンチアナ、アネモネ、アルニカ、コケモモといった、さまざまな香りの植生により、表彰を受けました。こうした植物が、「Cantal(カンタル)」の材料となる牛乳に独特の風味をもたらしています。

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